隣人を愛したい

これほどまでに心を揺さぶられるミュージカル作品に出会ったのは初めてなので、
共有させていただきたい。

DAY ZEROという作品。
予期せぬ召集令状が届き、3週間後には出征しなければならない。
立場が異なる幼馴染3人が残りの日々をどう過ごすか、というストーリーです。
これだけ聞くと戦争モノなのかな?と思いがちですが、これは決して単なる反戦の物語ではありません。

この作品では出征=死を表現していますが、私たちが直面しようとしている現実でもあります。
例えば、病気・震災・無差別殺人事件…。

世の中は予測できない出来事で溢れてます。

私たちが普段何気なく過ごす中で、自分や隣人のタイムリミットを意識することはあるでしょうか?

多くの人がNOだと思います。

死を意識しないから、人は救いを求める人に関心を示せなかったり、平気で他人を傷つけてしまいます。
けど、後悔した時にはそれはもう取り返しのつかないことになっているかもしれません。
それを意識させてくれるのがDAY ZEROという作品です。

「なにもしなかった。
 だから今日が来た。」

というフレーズが劇中歌にありますが、とても重い詞だと日に日に強く感じます。

大学生の頃、一人の先輩が自ら命を絶ちました。
私はその人と関わりがなく、顔見知り程度だったのですが、
その日を迎える1週間前に言葉を交わしていました。
悩んでいる様子でしたが、
その時まで話したことがなく、あまり関わりたくないとさえ思っていたので軽くあしらってしまいました。
報せを聞いた時は虚無感に苛まれました。
あの時もっと気の利いた言葉をかけれていれば、
悲しい出来事は起こらなかったかもしれません。

もう一つのエピソードです。

去年私は大切な家族をひとり亡くしました。
老衰でしたが、身近な存在のタイムリミットを感じたのはそれがはじめてでした。
まだ大丈夫だろうと軽く考えていましたが、 犬が老いるスピードは速いです。
ついこの間まで元気に階段を駆け上がっていたのに、 食欲がなくなり、痙攣が始まりました。
その時になって、今までもっとこうしてあげればよかった、と思ったのですが、もう遅かったです。

何もしないまま、その日を迎えてしまいました。
人間は愚かな生き物だなあと気づかされます。

その日は平日で、私は仕事に行かなければいけませんでしたが、
直前まで一緒にいて、ずっと撫でてあげられたのは幸いだったと思います。

この経験があったからこそ、DAY ZEROが私にとってより深い作品になったのかもしれません。
毎日大切に生きようと思いましたし、隣人を大切にしなきゃなと思いました。
これほどまでに隣人を愛したくなる作品はありません。

いろんな人に見ていただきたいと思ったので今回筆を取りました。
東京では6/24(日)まで、そのあと愛知・大阪でも公演されますので、気になる方は是非足を運んでみてください。
本当に素晴らしい作品です。

 

www.stagegate.jp